1月7日(土曜日)付けの日本経済新聞に面白い記事を見つけました。

「笑う門(かど)には福来(きた)る」と昔から言われますが、今日、「笑い」を医学的に研究しようとの試みがなされ、様々なことが分かってきたそうです。

福島県立医科大学医学部疫学講座の大平哲也(おおひら てつや)教授らが大阪府内にある企業の従業員1,600人を調べたところ、男性より女性の方がよく笑い、年齢が上がるにつれて男女とも笑いが減る傾向があることが明らかになったそうです。しかも、40代以上の男性の5人に1人が週に1回も声を出して笑っていなかったそうです。

東京大学大学院の近藤尚己(こんどう なおき)准教授らが行った、全国の65歳以上の男女約2万人を対象にした調査では、普段ほとんど笑わない高齢者は、毎日よく笑う高齢者に比べて1.54倍も「健康状態がよくない」と答えた人が多かったそうです。健康に対する自己評価が低い人ほど、寝たきりになる割合や死亡率が高いことも分かっているそうです。また、ほとんど笑わない人はほぼ毎日笑う人に比べて、心筋梗塞などの心臓病を発症する割合が1.21倍も高いという結果になっているそうです。

一方、笑いには、動脈硬化を軽減するという報告もあるそうです。また、糖尿病との関係も明らかになっています。毎日声を出して笑っている人に比べると、週に1日から5日程度しか笑ってない人は1.26倍、ほとんど笑っていない人は1.51倍も糖尿病を患っている比率が高かったそうです。漫才で大笑いした後には食後の血糖値の上昇が抑えられるという別の研究成果もあるそうです。

もう一つ、笑いには運動効果もあります。声を出して笑うと、腹筋などの多くの筋肉を使い、消費カロリーは安静時より10パーセントから20パーセント増加するそうです。10分、15分の笑いで1日のエネルギー消費を10キロカロリーから40キロカロリー増やせるとの報告もあるそうです。「笑うこと自体が有酸素運動になる」と大平教授は言っておられます。

笑いの健康効果には、他にも痛みの緩和や免疫を担うナチュラルキラー細胞の活性化、呼吸機能改善、抗うつ作用、認知機能の維持などがあるそうです。

笑うことが体にいいということはよく言われていますが、こうして詳しい研究成果が出てくると意識して笑う努力をしなければと思います。お笑い番組を見るのもよし。「サラリーマン川柳」なんかを読んで笑うのもよし。世界や日本のジョーク集を読んで笑うのもよし。ウケを狙って人を笑わせながら一緒に大笑いするのもよし。いずれにしても笑わない人よりも笑う人の方に健康が来るということだけは言えそうです。

ちなみに、「押せば命の泉わく」の名セリフと大笑いで知られた指圧師の浪越徳治郎(なみこし とくじろう)さんは94歳まで生きられたそうです。