池袋から西武鉄道の特急レッドアロー号で約70分の秩父の入口にある、横瀬町が面白い取組を始めました。

山あいにある横瀬町には県内最大級の棚田「寺坂棚田(てらさかたなだ)」や秩父路三大氷柱の一つ「あしがくぼの氷柱」など魅力的な地域資源がたくさんあります。また、住民の参加意識が高いことも町の強みとなっています。

しかし、横瀬町は小さな町であるため、自分たちの力だけで町を元気にするには限界があると感じていました。そこで、町外の民間企業や個人からアイデアやプロジェクトを募集し、自分たちは行政としてその実現を手厚くサポートすることによって町の活性化を図ることにしたのです。

一方、企業の側は、事業やプロジェクトを始めたくてもどこに相談してよいか分からない、せっかくアイデアを提案しても真剣に検討してもらえない、といった悩みを抱えていました。

 
そこで、今回の取組ではウェブサイトから誰でも町に直接提案ができるようにしました。また、町も面白いアイデアは町公認のプロジェクトと位置付けて、地域住民に参加を呼び掛けるようにしました。町が全面的にサポートすることで企業側も新しいビジネスモデルの実証実験ができるというメリットを得ることができるようになったわけです。例えば、高齢者の見守りなどのサービスが具体的に動き出し、既に幾つかの大手企業が参加を表明しています。

 
横瀬町はこの取組を、官と民がコラボする研究所という意味で「よこらぼ」と名付けました。また、廃校となった小学校の木造校舎を利用した「あしがくぼ笑楽校(しょうがっこう)」に公衆無線LAN「Wi-Fi」を整備して、企業や個人が現地オフィスとして使えるように環境を整えました。

 
今、「地方創生」が注目を集めていますが、行政や地域住民だけで考えるのではなく、地域の外の人たちのアイデアや力を上手く活用し、チャレンジするという切り口は大変ユニークです。期待したいですね。